嘘みたいな、本当の話

あとから振り返ってなぜ自分がそうしたのかわからないミスは、たいていこのパターンに当てはまる気がする。

ヨーロッパの格言に「ゆっくり急げ」というのがあるが、古代の人も、焦るときほど落ち着いてコトにあたる必要がある、と経験的に知っていたのだろう。

なお、ダーウィン賞では例外的に「特別賞」が贈られたことがあった。賞の規定に満たない「生存」かつ「生殖能力維持」という事例だが、あまりに奇跡的なエピソードだったためだ。

受賞者はラリー・ウォルターズといって、これまたアメリカの人だ。彼は、昔からパイロットに憧れていたが、視力が悪くて夢を叶えられなかった。ラリーはそれでも諦めず、大量の風船を椅子にくくりつけ、地上とロープでつながった状態で空に浮かぼうとしてみた。

このときの持ち物は、ビールやサンドイッチ。そして、降下したくなったら風船を割るための空気銃。本人としては、ちょっと特別な場所でピクニックをしようとしただけだった。

ところが、風船の浮力が凄まじすぎてロープがちぎれた(!)。そのまま富士山よりもずっと高い位置まで上がってしまい、呼吸すら困難な状況で寒さと恐怖に震えながら風船を割りはじめたのだが、途中で空気銃を落とし(!!)なす術がなくなった。

幸運だったのは、風船に詰めたヘリウムが次第にゆっくりと漏れたことだ。おかげでなんとか降下することができ、見事生還した。

嘘みたいな、本当の話である。

※本稿は、『世界を変えた「凡ミス」図鑑:昔の人たち、やらかしすぎ!』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

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