「僕の思う幸せは、普通の生活の中にある気がする。配偶者であれ、後継者であれ、僕が望むのは、寄り添ってくれる人。家族がほしい。」

客観的な視点が生まれて

すると不思議なもので、それまでいつも使っていたカスタネットのかぶりものもいらないなと思うようになりました。かぶっていないと芸人の仕事がなくなるかも、という恐怖から、ようやく自由になれたのかな。

それと同時に、「好きなこと」と「得意なこと」の違いがわかってきました。芸人の仕事は好きだけど、なかなか思うようにはいかない。逆に不動産の仕事はそれほど好きではないけれど、うまいことまわっている、といった具合に。

今、4つ目のビルを建設中で、駐車場経営も安定していて不動産収入が増えています。新型コロナウイルスの影響で一時閉めましたが、新宿にある飲食店も好調。映画制作もうまくいき、カスタネットパフォーマンスも続いています。

現在総資産は11億まで増え、順調そのもの。でもね、自分が思い描く成功のイメージからは遠いのです。莫大な資産を相続しても、幸せだとは感じていません。

少し前に、結婚するつもりで4年間つき合った彼女と別れました。その夜は、めっちゃしんどかったな。あんなにへこんだことはなかったと思います。

僕の思う幸せは、普通の生活の中にある気がする。結婚して子どもができたら、本当に幸せだと思えるんじゃないかな。配偶者であれ、後継者であれ、僕が望むのは、寄り添ってくれる人。家族がほしい。おばあちゃんはずっとそばにいてくれる人を自分の跡継ぎに、と考えていたけれど、今では僕も、おばあちゃんと同じことを考えているのです。