月組時代の仲間・玲実くれあさんと、劇場でバッタリ会った蒼矢朋季さん

開始数分で…

ロビーに入った瞬間から、お客様方の熱量が伝わってきます。
ああ、久しぶりのこの空気。
客席に入ると、制服姿の学生さんたちがたくさんいらっしゃいました。
しかも男性ばかりの団体も見受けられます。
社会勉強の一環でしょうか。
終演後に感想を聞いてみたい気持ちになりました。

さて、幕が上がります。
そして開始数分で思いました。
「あ、これは面白い」
正確には「面白い」と思う暇もありませんでした。
舞台が最初から燃えていたのです。
熱量がすごい。

冒頭から大人数による殺陣が繰り広げられ、その迫力に圧倒されます。
まだ始まったばかりなのに、すでにクライマックスのような勢いです。
そこへちなつ(鳳月杏さん)から「本日はようこそお越しくださいました」と宝塚ならではのご挨拶が入り、途端にゾクゾクし始めます。

演出、台詞、音楽、すべてが満点でした。
大きな舞台をこれでもかと使い切った見事な転換に、一瞬で引き込まれました。

『RYOFU』は三国志の世界を描いた作品ですが、そこに人間の弱さや孤独、そして愛されたいという切実な願いが丁寧に描かれていました。
呂布という人物は決して善人ではありません。
けれど、その奥にある哀しみや寂しさが見えてくると、私たちは彼をどうしても嫌いになれないのです。

人は完璧な人間よりも、不完全な人間に心を動かされるものなのかもしれません。
ちなつの持つ色と、この役がうまく合わさり、そのバランスが実に絶妙でした。
強さだけでもない。
優しさだけでもない。
威厳と哀愁。
光と影。
その両方をあの佇まいに宿しているからこそ、人は惹きつけられるのでしょう。
それは宝塚のゴールを見据えた限られた時間にしか放てない、尊くも恐ろしいほどの美しさでした。