AIに淘汰されるのはこんな人

池上 ただそうなると、受け手の側のITリテラシー(情報を選別し活用する能力)も、ますます問われることになりそうです。

佐藤 MOOCのような仕組みを活用すれば、子どもを学習塾に通わせなくても、ちゃんと補習授業を受けさせることができるようになるでしょう。しかし、親にその知識がなければ、子どもをそこに誘導してあげることもできません。Wi-Fi環境を整えずにパケット通信でやっていたら、通信費だけで月に10万円を超えてしまうかもしれない。

池上 そういうのも、大事なITリテラシーです。

佐藤 ネットの活用はいいけれど、子どもが触れるその世界には、ポルノや出会い系といったもの以外のリスクが潜んでいることにも、注意すべきです。一例を挙げれば、「日本は、すでに中国に乗っ取られている」といった類の話が、ネットからはまことしやかに流れてくるわけです。

池上 学びを促すどころか、正しい知識の吸収を妨げることになる。そういう影響力は、過小評価しないほうがいいですね。

佐藤 さきほど「教育格差」という話をしましたが、義務教育段階では、あまり「方向づけ」をせずに、技術科、家庭科、音楽、美術といった教科も含めて、しっかり学ぶことが大事だと思います。後々役に立つことが、たくさんあるのだから。

池上 近年、大学でリベラルアーツ(教養教育)が重要視されているのと、ベクトルが同じ話だと思います。

佐藤 受験校の中には、有名私立大の受験に必要な3科目に絞って叩き込むようなところもありますが、やはりそういうのは間違っています。

池上 AIに真っ先に淘汰されるのは、その手の教育を受けた人たちではないでしょうか。そこに、まずは親御さんが気づいてほしい。

佐藤 その点は、「ポストコロナ時代」も変わらない真理だと思います。