私は小さな頃から人を笑わせるのが大好きで、小・中・高校と学校での催し物では常に台本を書き、先生のモノマネや寸劇などを作ってみんなを笑わせたい生徒でした。そこからさらに成長し、現実的に大学卒業後の進路を考える時には「女優になる」と決め、敢えて笑いを排した、シリアスな芝居が主流の新劇を目指すことにしたのです。

なぜなら、〈笑ってもらう〉ことで喜んでしまう自分でいいのか?(それがいかに難しいことであるか、後でそれを痛いほど知るのですが。)笑いが起きたことに喜び、そこに安住する自分ではいけない、と思ったからです。

しかし20年を経て私はやはり、観に来てくださった方々に楽しんで帰ってもらいたい。観に来てよかったと思って欲しいという気持ちが日に日に強くなり、ならばここからもう一度、自分の〈原点に戻ろう〉と思いました。

その私の原点とは、「笑い」です。自分が表現することで、やはり見た人に笑ってほしいということでした。

そして新劇から、「笑い」という原点に戻り、あの「R-1ぐらんぷり」に挑戦することにしたのです。「R-1ぐらんぷり」とは、まさに一人芸で、目の前のお客様をいかに笑わせられるかを競うコンテストです。

お笑いに関して素人同然の私でしたが、小さな頃から人を笑わせて来た(と勝手に思っていただけですが)経験があったために、大変お恥ずかしいのですが、その時は変な自信のようなものが少しだけあったのです。

しかし1回戦を無事に通過し、2回戦に駒を進めることができた時、その自信は木っ端微塵に砕かれました。まさに私が心を入れ替えるきっかけとなる出来事が起こったのです。