「筑波病」と「立ち飲み屋」の関係
ここで想起されるのが、かつて自殺の問題として1980年代から1990年代にかけてよく語られた「筑波病」だ。茨城県つくば市の研究学園都市としての構造的な要因が指摘された。
つくば市では、1980年代後半、研究学園都市としての開発が進むなか、移住してきた研究者やその家族のあいだで、抑鬱状態や自殺が目立つようになった。背景には、人間関係の希薄さがあった。急激な都市開発によって、地元のコミュニティと新住民(研究者たち)のあいだに溝が生じたことが、孤立しやすかった状況の一因とされている。
また、生活環境の変化も背景にある。それまで住んでいた東京など都市部との環境の違いや、娯楽・交流施設の不足によるストレスも指摘された。
加えて、単身赴任と家庭の問題がある。多くの研究者が単身赴任や家族を伴う移住を行ったが、不慣れな土地での生活環境の変化が家族全体のメンタルヘルスに影響を与えた事例も見られた。
そのような事情もあってか、20代から60代の男性、および高齢層で、自殺や抑鬱の割合が高いことが報告された。