世継さんとのこと
昨年同級生から、アートディレクターの世継恭規さんを紹介していただいて、10日で交際、結婚を決めました。付き合うだけでいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、私たちには戸籍上の家族になる意味がありました。万が一、どちらかが倒れた時に、病院や救急車から電話がかかってくるのは家族だけなのです。夫の世継も私と出会う前に脳梗塞で倒れた経験があります。私も彼も大病をした身なので、籍を入れて正式な家族になるのがいいという話になりました。そして人生に残されている時間は限られているという感覚が、私たちの決断を早めました。お互いのペースが合ったのだと思います。
結婚した人と行ってみたい場所…大抵の方は海辺のリゾートとかだと思いますが、私の場合は病院でした(笑)。闘病の時、ご夫婦でがんセンターに来ている人たちが純粋に羨ましかったんです。でもいざ病院に一緒に行ったら、私も彼も今までになくとても動揺してしまいました。結婚すれば喜びも2倍ですが、死への恐怖感も増幅するように感じるものです。そんな訳で、これからは病院は1人で行こうと思っています。
彼と結婚してみて、新しい面をたくさん発見しました。ある時、彼が疲れて帰ってきてテレビの映像を切り替えてもいいか聞いてきたことがあります。彼が見始めたのは、なんと…『きかんしゃトーマス』!私は口にこそ出さないものの「やばい!私、子どものアニメが好きな人と結婚してしまった!」って頭を抱えてしまいました。(笑)
でもよくよく話を聞いてみると、彼が見ていた昔の『きかんしゃトーマス』は、今の『きかんしゃトーマス』と違って、ストップモーション(1コマ1コマ撮影する技法)が美しく、内容もイギリス文学的なのだとか。一日中新しいクリエイティブなものをうみ出すために働いた彼の脳を休ませてくれるのが、『きかんしゃトーマス』の世界だったようです。
そんな話を聞かせてくれたことで、「ああ、この人は真剣にモノづくりをしていて、私とは全然思考回路が違うんだな」とまた尊敬したりして。とはいえ好きな映画のジャンルも全然違うので、チャンネル争いはせず、今は自分のiPadで違うものを見るようにしています。
こんなこともありました。彼が随分早い段階で私の前でおならをしたんです。「やだ〜」と言って私はただ笑っていたのですが、後から真剣な顔で「嬉しかった」と言われて。今まで彼がお付き合いした女性達からは、冷たくおならを禁じられてきたのだとか。私だって、薬の副作用で一日何回もトイレに駆け込むことがありましたから。でも生活するってそういうことかな、と。ちょっとしたことはお互い笑って乗り越えるのが一番。病気を経験した者同士だからこそ、とても過ごしやすい関係なんです。