右から市村さん、末次美沙緒さん、浅利さん。浅利さんの手書きで「芝居……それは永遠のひとときです」とある(写真提供:市村さん)

 

貧乏話が大好きで

僕は可愛がられたと思う。稽古が終わると、劇団の母・藤野さんを筆頭とするベテラン勢に交じって、いつも浅利さんのマンションで夕飯をごちそうになっていたからね。

メニューはいつもポパイ鍋。ほうれん草と肉を塩・胡椒とお醤油で味付けしたシンプルなものだったけど、美味しかった。早くに亡くなられた浅利さんのお姉さんが舞台芸術学院の学生だったから、僕が同じ舞芸出身だったことも大きかったんだろうね。

それと浅利さんは貧乏から這い上がっていく人が好きだったの。僕が初めて風呂付きアパートに住んでお風呂を沸かしたときに、水でうめて適温にすることを知らなくて、熱々のまま入ったんだよね。「あー俺の風呂だー」って肌を真っ赤にしながら。

あと、部屋に湯沸かし器があるのが嬉しくて、洗うものもないのに「ボンッ」と点けてはお湯を出したり。そういう僕の貧乏話が浅利さんは大好きで、楽しそうに聞いていたな。