さてお腹が膨らんだところで、次はどうする? 昔、よく京都に来ていた頃、足繁く通った場所は新門前通にある骨董屋さんだった。もう十年以上のご無沙汰をしている。「いづう」から歩いて数分の場所であることがわかったので、スーツケースをゴロゴロ引きずりながら向かう。が、店が見当たらない。閉店してしまったのだろうか。諦めかけていたところで、中脇さんがスマホを覗き、
「すぐ近くに移転したみたいですよ。ここらへん……あった。この路地を入ったところ」
中脇さんのおかげで「喜多古美術店」にたどり着くことができた。扉を開けると中から懐かしきご主人が現れて、
「ああああ、よう来てくれはりましたあ」
今まで何度店を訪ねても、職人肌の人見知りだと思っていたご主人が、満面の笑みを浮かべて大喜びで迎えてくださった。狭い店内にびっしり並ぶ伊万里、古伊万里、九谷焼などの食器の数々。京都に住んで三年になる中脇さんも、「骨董店は初めて。楽しい~」と喜んでくださった。再会の喜びに旅の解放感も加わって、私も心が躍る。興奮する。これ、いいなあ。いや、こっちもステキだな。さりげなく手に取って、「これは伊万里? どうですかね?」とご主人に訊ねると、「それ、普通」とボソッと呟く。そしておもむろに、「その柄ならこっちのほうがいいです」。
店の奥から似た器を出してきてくださる。決して高いモノを売りつけようとするわけではない。その時代の職人がどれほど丁寧に描いているか、土の質がいいか、モダンであるかどうかなどを、シロウト相手に丁寧に教えてくださる。この問答がいかにも楽しい。
迷いに迷った末、古伊万里の平皿と同じく古伊万里のなます皿を二枚ずつ。合計金額は、内緒。中脇さんはニッコリ。隣で黙って私の買い物を見守っていた亭主は、小さい声で店の奥様に、「今夜はカップラーメンにします」と告げ口していた。
