その後、中脇さんと別れ、京都の北側、比叡山を望む宝ヶ池近くのホテルへチェックイン。ホテルの人に翌日の観光について相談すると、コンシェルジェ氏が登場した。
これまであちこち旅をしてきたが、今回ほどコンシェルジェ氏を頼りにしたのは初めてだ。こちらの要望、なにせ老夫婦なのでたくさん歩き回ることは避けたい、でもお寺巡りは一、二カ所したい、あとお昼ご飯にきつねうどんが食べたいなどを伝えると、即座に調べてくださり、我々が夕食から戻ったら、
「ホテルのミニバンを使って観光できます。お寺は二カ所選んでみました。きつねうどんはこことここあたりはいかがでしょう?」
しっかり予定を組み立ててくださっていた。
こうして翌日、朝ご飯をゆっくりいただいたあと、大徳寺境内の中にある興臨院(春の特別公開中)の茶室やお庭をゆっくり拝見し、続いて山の中腹にひっそり佇む、デヴィッド・ボウイがその美しさに涙したという正伝寺を訪れた。参拝客は我々に加えてほんの二組ほど。天気にも恵まれ、その塀に囲まれた小さな庭園と、比叡山の借景を望むうち、涙は出なかったが、何時間でもここにいたい気持になった。
旅の教訓。ポイントを絞る。頼れる人には頼る。何度となく足を運んでいた京都でも、まだまだ奥が深いことを学んだ。
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老(おい)を笑えば福来る。
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「冥途の土産にこの本、持っていってくださいな。」
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