2023年のエンタメ界において

そして凪良ゆうの小説『汝、星のごとく』は、本屋大賞も受賞し、2023年を代表するベストセラーとなった。昨今「毒親」と呼ばれるような、子どもを傷つける親との関係を描いた小説である。

主人公・暁海の父は浮気をして家を出て行った。そのため彼女は母とのふたり暮らしになってしまった。一方、最近暁海の住む島にやってきた櫂もシングルマザーの家庭で、彼の母は男性に依存している。

三宅香帆
(写真提供:講談社)

父のいない家庭で、母をケアする高校生のふたりが、支え合ううちに惹かれていく、というのが序盤の展開である。

『【推しの子】』『THE FIRST SLAM DUNK』『汝、星のごとく』という2023年のエンタメ界を席巻した3作品は「シングルマザー物語」なのだ。2023年のエンタメ界において、父は不在だった。