「陽気なイタリア人」

<横沢は、高越日報に勤める新聞記者。社会をよくしたいという信念を強く持ち、もともと信州にいたが、自由民権運動が盛んな新潟にやってきた。りんとの出会いは、新潟のお店で起こったあるトラブルの現場だった。飴屋に女性と老婆が並んでいたところに、男が割り込むのを目撃したりん。りんが男に注意してトラブルになりかけた時、「異議あり!問題あり!」と割って入ってきたのが横沢だった。以来、りんに興味を持った横沢はりんと親しくなろうとして――>

横沢役は別の役のオーディションを受けたことからお話をいただきました。「陽気なイタリア人のような役」と説明を受けまして、これまでやったことのないようなキャラクターで楽しみだなと思った反面、自分が試される役だなとも感じました。

横沢は信念が人一倍あって、自由民権運動へ強い思いを抱いています。ジャーナリストとして書いた記事で、ちょっとでも社会を変えたいという思いが彼の原動力。だから、似たような考えを持ったりんと出会って、まさかの求婚をします。横沢はりんに何回も結婚を申し込みますし、断られても諦めない。そんな横沢の個性が強過ぎる撮影は、監督と何度も話をして、横沢像を確立していきました。

井上祐貴さん『風、薫る』場面写真
(『風、薫る』/(c)NHK)

「陽気なイタリア人」という横沢の特徴は、ハットをかぶったスーツ姿。ハットの扱い方などは所作指導の先生に細かく確認しました。ハットは横沢っぽさをアピールするひとつのアイテム。動きが流れてしまわないように、位置や持ち方は意識して演じました。

横沢はよくしゃべるけれど、意外と早口ではないんです。台本の横沢のセリフは「自分がどういうつもりで今ここにいるのか」「これからどうしたいのか」という信念が伝わってきました。