自分の色
北野さんから清水さんを挟み、病院長の椅子についた原田さんは、自分の色を出すのに苦労していた様に感じる。ブルドーザーの様に既成概念やシステムを新しくしようとした北野さん。
そこには反発も無かったわけではない。特に保守的な山陰人の気質が根底で改革を恐れ岩盤となって横たわっていた。思っていても口に出さない。変化を好まず、忍耐を美徳とする環境。会議で異論を唱える人は稀で、粛々と議題が決まっていく。
米子市出身の直木賞作家 桜庭一樹の小説『私の男』『赤朽葉家の伝説』を読むと、山陰の奥底に流れる寂れた町の匂いや不器用な生活の一端(だいぶ時代と共に変わったし、米子を中心とする鳥取県西部は、江戸時代から商人の街であり、それでも快活だと地元の人は評すが……)を読み取れるかもしれない。
北野さんの最初の病院改革とアイディアの実行、その改革マインドは、清水病院長を経て、原田さんに色濃く受け継がれる。原田病院長の凄いスピード感と実行力の病院改革を私はこの後、間近に見ることになる。
※本稿は、『病院がなくなる』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。
『病院がなくなる』(著:結城豊弘/ビジネス社)
鳥取大学医学部附属病院はなぜ、勝てる経営を実現し、高度で優しい地域医療を提供できるようになったのか。
現場に立ち会った著者が、苦闘の日々を描く。
赤字に苦しむ病院へのヒントが満載の書。





