国内初となる「ロボット手術マニュアル」発刊
2012年春、国内初となる『ロボット手術マニュアル』が鳥大病院から発刊される。副題として「ダビンチ手術を始める時に読む本」とある。
低侵襲外科センター編と書かれ、当時の病院長、北野博也さんが監修と執筆。また原田省さんは女性診療科群教授として編集と執筆、また、武中篤さんは、泌尿器科教授で同じくこのマニュアル本の編集と執筆に名前を連ねる。
マニュアルには、低侵襲外科センターの役割と病院内規の制定、ロボット手術開発の歴史、ロボット手術の基本操作、トレーニング、コストや先進医療の申請やロボット手術のセッティングも詳しく解説された。
その他、泌尿器科の手術手順、呼吸器外科の手術例と分析、産婦人科のロボット支援子宮全摘手術の実例と今後の展望、その他、消化器外科、頭頸部外科、心臓外科、麻酔科、看護師の役割まで手術の実際や今後の展望と課題まで記されている。各科の壁を無くして病院全体で書いたマニュアルは画期的だった。
先進的なのは、ラストにME(臨床工学技士)の役割が明記され、ロボット手術でのMEの機器の準備や手術中の医師の機器のバックアップにも言及している。停電時の対応や機器のトラブル事例、エラーからのシステム復旧など細かく書かれる。ラストにはロボット手術の機器・機材・術語など用語の検索と解説まで掲載されている。
各診療科の垣根を越えなければまとめることができなかった日本初のダビンチのマニュアル本となっている。
2012年4月、日本でのロボット支援手術において、前立腺ガンの全摘手術が保険診療に適用となった。鳥大病院では、それまで病院が負担し手術の治験と機器の運用などの精度を上げていった。北野病院長の診療科に関係なくロボット手術に触れるという大号令は、鳥大病院でのロボット手術理解への追い風となった。様々な診療科の外科部門で、ロボット手術への理解や勉強会、利用について情報共有が進んでいく。
その後、鳥大病院でのロボット手術は、武中さんが最初に執刀した前立腺ガンだけではなく、子宮筋腫、胃ガン、肺ガンなどにも行われ、2012年6月までに146件を数えた。これは既に国内有数の実績となった。2012年の年末時点で、日本国内にはロボット手術機(ダビンチ)はすでに約50台が導入され稼働していた。
