
はしゃぐ執事にお歌をお振る舞い!
老けてゆくわたしの頬を見てほしい夏の鳥影揺らぐさなかに 大森静佳
お邪魔いたしますーー! ぱーん! ぱんぱかぱーん! いえーい! ふふふ、玄関でクラッカーが出てくるとは思わなかったでございましょう。待ってました、お邪魔いたしますぞお嬢様! ここはお二人の新居! お嬢様と旦那様の愛の巣! おお、お料理しながらお話も弾むカウンターキッチン! ふかふかのソファーのリビング! サイドテーブルには……、おお、お嬢様と旦那様のツーショットがいっぱい! 素敵なお洋服と髪型でばっちり決めたデートの数々、これは旦那様のハートもズッキュンズッキュンであったことでございましょう! 眩しい! 羨ましい! 幸せのお裾分けをー!
……はーはー、はしゃぎすぎて少々疲れてしまいました。いやいや、お嬢様お構いなく。わたくしめはいつまでもお嬢様の執事。新居に来ても、お紅茶でもてなすのはわたくしめの役目でございます。どうぞ、ソファーに座っていてくださいまし。……おや? 何やら手荒れが酷うございますな。結婚前のお嬢様は、いつもネイルでピカピカ、華やかなお手元でございましたのに。え? ネイルは節約でやめた?
ふ……む……。でも、それにしても装いまで地味ではございませんか? わたくしめ、この訪問のために、ちょっとエッチな人妻エプロンをプレゼントにご用意いたしましたのに、いつもスカート姿だったお嬢様が、Tシャツにジーンズ。……いけません! これはいけません! もっと女を磨かなければ、旦那様の心も離れていってしまいますぞ。ましてやお嬢様は女盛り。ここが勝負でございます。美肌ケアに体形維持、ヘアカットももっと決めていただいて! え? 浅い? わたくしめがでございますか? む、人生の何たるかを知らない……、む……私は彼と添い遂げるからこうして今質素に暮らしているんだと。
あら、いつの間にか差し出された紅茶とともにお嬢様から大森静佳さまのお歌のお振る舞いをされそうな予感でございます。
