1枚のハガキ

その傷心の私に、今年1月中旬、無記名の1枚のハガキが届いたのです。

内容は悪名高き、あなた(私のこと)がいくら泣言をいっても世間は笑っている。ご主人を散々いびり、こき使い死なせた。あなたは自我が強く、自分勝手で、今度は夫以上に、嫁をいびり、苦しめるだろう。自分や娘だけ、よい思いをしようとしても神様は許さない。自我を捨てて少しは血の通った人間になれ――というような手紙です。

『わたしの人生案内』(著:沢村貞子/中央公論新社)

昨年も同文のハガキがきたのですが、その時はだれかのいたずらぐらいに思っていたのです。私は人様にこんなひどいことをいわれる覚えはありません。気は短い方ですが、情はいたって弱い方です。

いままで交際した人たちの中で、だれかが……とも考えてみるのですが思い当たりません。人間だれしも、神様でないかぎり、完全な人はいないと思います。このまま黙っていることは自分自身が哀れになりますし、と考え、ご相談の手紙を書きました。

東京都・傷心の身を傷つけられた老母