しばらくすると、叔父から呼び出しがあった。
今度は従弟の憲一(けんいち)も同席していた。憲一は今年五十歳で小太りなのは叔父と同じだが、髪はずっと薄かった。電子機器メーカーの営業で一年の半分は海外にいる。
「霧。お相手のこと、ちょっと調べさせてもらったが賛成できんな」
勝手に身元調査をされたことに不快を覚えた。だが、顔には出さないようにやんわり抗議する。
「叔父さん。調査なんかして向こうがどう思うか」
「なにを言ってるんや。結婚なら調査は当たり前やろう。……まあ、されたくない気持ちはよくわかったがな。お相手には介護が必要な父親がいるそうやな。で、娘は引きこもりと」
「本人から聞いてます」
「で、死別の夫というのは自殺らしいやないか」
「それも知ってる。すべて承知の上で結婚するつもりです」
「阿呆か、おまえは。とんでもない不良債権やないか。おまえ、騙されてるんや。その女はおまえに寄生したいだけや」
「違う。彼女はそんな人じゃない」
そこで、今まで黙っていた従弟の憲一が口を開いた。
「霧さん。親父は霧さんのことが心配やから言うてるんやよ。別にケンカを売ってるわけやない。歳を取ってからの再婚なんて別に珍しくもない。けど、それはお互いに身軽で周りに迷惑を掛けない場合やろ? その点、お相手の人は条件が悪すぎると思うよ。寝たきりの老人と引きこもりの娘がくっついてくるんやから」
叔父よりはずっとソフトな口調だったが、営業マン独特の押しの強さがあった。
「憲ちゃん。わかった上で決めたんだ」
