ヒグマとツキノワグマの食性
クマハギ(ツキノワグマの場合)
歯と爪を使って樹皮をはがし、樹皮の内側にある層を舐めたりかじったりする。スギなどの針葉樹で多く見られるが、ミズナラなどの広葉樹でもすることがある。原因は諸説あり、糖度の高い内樹皮を摂取するためとも言われるが、クマハギが原因でスギが枯れて林業に被害が出ることから、人間社会で問題視されることも多い。
クジラ(ヒグマの場合)
海岸に漂着したクジラやトドなどの海洋哺乳類の死体に執着することも知られている。変わったところでは海鳥の巣から卵を獲る例も報告されているようだ。海と山の距離が近く、人が立ち入らない海岸が続く知床半島では、ヒグマはこうして海岸線も採餌場として利用する。
高山植物
雪渓の際に生えている柔らかい草を盛んに食べる姿を見ることが多い。種類の判別は私の経験では難しいが、大雪山ではハクサンボウフウの新芽が出る7月にヒグマの出没が増える。さらに8月以降も掘り返して根を食べる。この季節、ツキノワグマはどうやらガンコウランの実なども食べているようだ。
ハイマツの実
高山性であるハイマツの球果(実)は、小型の哺乳類や鳥類など多くの動物が利用するが、ヒグマ、ツキノワグマにとっても夏の重要な栄養源となっている。とくに知床半島では、秋の食べ物と同様に重要な位置を占める。ハイマツは森林限界を超えた高山帯に広く分布し、ハイマツ帯を形成する。登山道などのすぐそばまでハイマツ帯は広がっていることが多いので、クマがハイマツを利用する時期は注意が必要である。
※本稿は、『日本のクマを追う 激動の自然環境を生きる、ヒグマとツキノワグマ』(山と溪谷社)の一部を再編集したものです。
『日本のクマを追う 激動の自然環境を生きる、ヒグマとツキノワグマ』(著:二神慎之介/山と溪谷社)
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