なぜ捕まるのか

「悪意」より大切な「自由」

このケースで問題になるのは、主に 強要罪(刑法223条)と、場合によっては不同意わいせつ罪(刑法176条)、さらに職場環境の問題としてのセクシュアル・ハラスメントです。

強要罪は、暴力だけの話ではありません。「脅しや圧力によって、本来やらなくていいことをやらせる行為」は、すべて対象になります。

ここで大切なのは、「誘ったかどうか」ではなく、相手の自由な意思が守られていたかどうかです。この手の事件の加害者の多くは、「断ればよかっただけなのに」と言います。しかし、法律や社会が見ているのは、断れたかどうかではなく、「本当に自由に断れる状況だったか」です。

たとえば、

・上司と部下
・先輩と後輩
・取引先と担当者

など、立場に差がある関係では、相手が本音を言いにくくなることがあります。

さらに、

・何度も誘う
・断った後も繰り返す
・評価や仕事を連想させる発言をする
・業務連絡と私的な誘いを混ぜる

こうした行為が重なると、相手は心理的な圧力を感じやすくなります。

また、飲み会の場で、

・身体に触れる
・恋愛や性的な話題へ踏み込む
・二人きりになることを求める

といった行為があれば、刑事上の問題へ発展する可能性もあります。

つまり、飲み会への誘いが刑事事件になるかどうかを分けるのは、

1 立場の差があったか
2 相手が自由に断れる状況だったか
3 その自由を奪う言動がなかったか

の三つにまとめられます。

法律が見ているのは、悪意の有無ではありません。

相手の自由が守られていたかどうか、そこが大切なのです。