何もかも忘れて心底楽しむ力がほしい

先日、朝井リョウさんの小説『イン・ザ・メガチャーチ』を読んだ。現代の推し活やファンダムの熱狂を描いた作品なのだが、ハッとさせられる視点がある。

人は辛い現実や孤独をやり過ごすために「わざと信じ込む、わざと強く思い込む、没入する、視野を狭める、我に返らないように」「誰だって信じる物語を決めて生きているだけ」というものだ。

みんな、何も考えていないわけじゃない。現実を生きやすくするために、あえて思考を手放して熱狂に飛び込んでいるのかもしれない。

作られたエンターテインメントだとわかっていても、相手が仕事で言っているとわかっていても、そこに身を委ねることで救われる時間がある。彼らは自ら望んで、その魔法にかかりにいっているのだ。

考えることで自分を守ってきた結果、楽しいことも何もかも全部を手前で止めているだけかもしれない。そんなことをしている間にも、隣の人は「楽しい!」と全力でその瞬間を楽しんでいるというのに。

あの子たちが羨ましくて仕方がない。

私もあんなふうに、ちょっとくらいハメを外してみたい。「私のことめっちゃ好きじゃーん!」とか言ってみたい。

……でも、これだけいっても、きっと私はまたどこかで「営業なのに真に受けるの、やっぱ無理」と思うんだろうな。

我ながら、めんどくさい。

あーあ、何もかも忘れて心底楽しむ力がほしい。
本当は解放されたいのだ。毎日こんなにカチコチの頭で生きているからこそ、何も考えずに心の底から笑える時間が、どうしてもほしい。

私は、人生を楽しめる人が羨ましい。

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