青峰はグラスの外側を指で手持無沙汰になぞる。そうしながら、言葉を紡いだ。
「……正確には、全くプレイしなかったわけじゃない。今日は十三時に起きて……それから、一時間だけ触った」
「それじゃあ……」
「うん。チュートリアルが終わったぐらいかな。水の国に行ったなんて真っ赤なウソだよ」
「でも、ストーリーについては詳しく話せていたッスよね」
「サカキさんを参考にしたんだ」
「サカキ?」
「大学のサークルにいた先輩だよ。やったことのないゲームについて淀みなく語る。サカキさんはネットで調べた知識を自分のもののように語るんだよ」
「ふうん……」
ソニックのため息は、決して肯定的なものではなかった。
「発売から二日後とはいえ、もう情報はネットに溢れ返っている。最速攻略のレビューから、見所や難点を語ったレビュー動画。ゲーム実況者の実況アーカイブをかいつまんで見れば、ゲームの特徴や面白さぐらいは簡単に理解出来る」
「だけど、メグル姫のイベントは見逃したんスよね」
「そうだ」
「だと思いました。アオさん、メグ伝の世界観に興味あるタイプのマニアなのに、イベント飛ばしてるわけないと思ったんですよ。咄嗟にミクニさんと同じ言い訳をしたのは、誤魔化すためでしょ?」
「御明察」
――そこまで見抜かれると、イヤになる。
青峰は内心で自嘲した。
