あなたさえいなければ

その場がシンと静まり返った後、絞り出すように恭子さんが言いました。

「どういうことですか?」

『笑って大往生できる人できない人』(著:小笠原文雄/アスコム)

「ご主人の余命は1カ月です。ご主人が家で過ごす1カ月間、奥様が海外旅行をすれば、ご主人の願いはかないます」

ガクッと頭を垂れた恭子さんは、しばらくして私を見つめて断言しました。

「主人を家に連れて帰ります。ただ、私は介護を一切しません」

「わかりました。絶対、ご主人のおむつ交換などしないでください」

こうして長谷川さんは家に帰ってきました。