家を訪問すると…
ある日、長谷川さんの家を訪問すると、部屋には恭子さんのほほえむ姿がありました。驚く私に、こう言ったのです。
「先生、今日、主人のおむつ交換、できちゃった」
「なんでやるの? やらないって言ったじゃない」
「看護師さんが、健気に主人の世話をしているのを見て、気がついたらやってたんです。私だって一応妻なんです」
長谷川さんの笑顔や、看護師の献身的な介護を間近で見て、恭子さんの中で何が変わったのでしょうか。
あれほどまでに夫の介護を拒否していたのに、別人のようです。
それからは恭子さんと愛理さんは協力しながら、訪問看護師、ヘルパーと一緒に介護に取り組んでいました。
1カ月が過ぎ、私が訪問した際に、「どうですか?」と長谷川さんに尋ねると、「ビールを15本飲みました」と笑顔で答えました。
1日にビール15本! 長谷川さんがどうしても家に帰りたかった理由は、お酒だったのかもしれません。