告知しなかった後悔
59歳で副鼻腔のがんが見つかった西義徳さんは、左目にもがん細胞が広がっている(浸潤)可能性が高い状態でした。しかし、家族が本人への告知を強く拒否しました。
結果として、手術は副鼻腔だけという中途半端な選択になりました。さらに、がんであることを隠すために在宅医療でもモルヒネが使えず、痛みを緩和できなかったので、西さんは最期まで苦しい思いをしました。
西さんの死後、西さんの妻と会う機会がありました。西さんの妻は私と目を合わさず、気まずそうな様子でした。私は「告知しなかったことを、奥さんは後悔しているのではないか」と感じて、大いに悔やみました。
西さんの妻は「本人に知らせないほうが幸せ」と考えたのでしょう。しかし、患者さんはがんの痛みと苦しみで命を縮めたり、だまされたと感じてショックを受けて容体が悪化したりしています。
朗らかに生きて、笑顔で死ぬためには、患者さん自身が本当のことを知る必要があるのです。
※本稿は、『笑って大往生できる人できない人』(アスコム)の一部を再編集したものです。
『笑って大往生できる人できない人』(著:小笠原文雄/アスコム)
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