3. 「心」の居場所を地域につくる——精神科訪問看護の挑戦
私自身は現在、中目黒で訪問看護ステーションを運営しながら、特に「精神科訪問看護」の現場で患者さんと向き合っています。
通いなれた街で、私たちが扉を開けた先にいる患者さんの表情、お部屋の空気感を感じ取る瞬間は、100年前の先達たちもきっと同じ思いで佇んでいたことでしょう。
私たちの職務は単に医療や服薬管理を自宅へ届けるだけではありません。心の不調や生きづらさを抱える方が、病院や施設の中だけに閉じこもるのではなく、住み慣れた地域の中で安心して暮らし、自分らしい人生を歩み続けられるよう寄り添うことが大切になってきます。日々を安心して過ごすために何が必要か?患者さんの環境ごと細かく見ていこうという気持ちは『風、薫る』の時代も今も一緒……。
「今日はお布団から出られた」「ベランダで風を感じることができた」——そんな日々の暮らしの中の小さな変化に寄り添い、社会との結びつきを一緒に取り戻していく。100年前に鈴木雅さんたちが目指した「人の暮らしに寄り添う看護」という思いは、現代の精神科訪問看護の現場にも確かに息づいています。
