体を支える足腰は、全身の健康の要。高齢期の歩行機能を研究する町田修一先生は、「自分の足で歩き続けられるかどうかが、健康寿命を大きく左右する」と話します。俳優の原日出子さんは今年6月、それを実感する出来事があったそうで……。(構成:山田真理 撮影:玉置順子(t.cube))
危ない歩き方の特徴は
原 最近、歩くことの大切さを身に染みて感じたばかりなんです。ある朝、犬の散歩に行く時に玄関先でペット用のカートを組み立てようとしたら、勢いよくドーンと尻餅をついてしまって。全身から汗が噴き出し、しばらく動けないほどの強烈な痛みが背中と腰に走りました。ですが、翌日から映画やドラマのロケが続き、病院を受診できたのは1週間後で……。
町田 それは大変でしたね。撮影中も、立ったり歩いたりしていたのですか?
原 はい。でもさすがに移動する際は、車の座席を倒して寝たまま運んでもらいました。家では基本的にベッドに横になり、家事や犬の散歩は子どもたちに任せて。ようやく整形外科で検査したところ、腰椎の一番上を圧迫骨折していました。
先生には「安静に」と言われたものの、その先もしばらく撮影が続いたので、湿布やコルセットで何とか痛みをコントロールして乗り切ったんです。
町田 思うように体を動かせない、歩けないというのは、つらいことですね。
原 ええ、本当に! ですから今日は先生に、「いつまでも自分の足で歩く」ためにはどうすればいいか、しっかり伺いたいと思って来ました。
町田 私たちは普段、歩くことを意識していません。しかし、何も対策をしなければ《歩く力》は少しずつ衰えていきます。
加齢によって筋肉量が減ると、運動器症候群である「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」になり、立つ・歩くといった移動機能が低下。その状態が続けば、「フレイル(虚弱)」に繋がるリスクも高まります(下図参照)。
歩く力の維持には、筋肉だけでなく、骨や関節、神経、認知機能、心の健康など、さまざまな要素がかかわっているため、どこか1つでも機能が低下すると、歩行に影響を及ぼすのです。
【健康寿命にかかわるキーワード】
健康寿命に影響する3つのフレイル(虚弱)は、深く関連し合う。身体的フレイルの大きな要因となるのがロコモティブシンドローム。その背景にサルコペニアが潜む
健康寿命に影響する3つのフレイル(虚弱)は、深く関連し合う。身体的フレイルの大きな要因となるのがロコモティブシンドローム。その背景にサルコペニアが潜む