栄養塩は親潮で多く、黒潮で少ない
ところで、なぜ栄養塩は親潮で多く、黒潮で少ないのか。親潮は、ベーリング海を出るとオホーツク海の海水と混合し、循環してウルップ海峡から太平洋に出て、千島列島沿いをそのまま南西に流れてきた東カムチャッカ海流と合流する。その後、親潮は千島列島の南方海域を列島に沿って南西に流れ、北海道の南東岸から東北の沖に南下する。
このように、北の極寒の海域を流れる親潮は寒流で、水温は海面のほうが海底よりも低くなる。その結果、密度が高い海面の海水は、海底に向かって沈む。逆に、海底の海水は海面に向かって浮上し、上昇流が起きることになる。
このように、親潮では海底に溜まった硝酸塩やリン酸塩、珪酸塩、鉄分などの栄養塩を海面に運ぶ上昇流が常に起きる。そのことで、食物連鎖の第一次生産者の植物プランクトンが繁茂し、第二次生産者の動物プランクトンも増殖する。
親潮は、魚介類が豊富な動植物プランクトンを食べて成長し、海藻も海底からの栄養塩を摂取して繁茂する海流である。それゆえ親潮という名称は、海の生物を育む、まるで親のような働きを持つことにちなんで付けられた。
図 サンマの漁場と産卵場ならびに幼魚と親魚の回遊路(巣山ら, 2016とSuyama et al., 2019を参考に作図)<『日本の海から魚が消える-温暖化、IUUの問題から陸上養殖の挑戦まで』より>
