栗山巧
写真/水上俊介
西武ライオンズの「ミスターレオ」こと栗山巧さんが、2026年8月30日の試合をもって現役を引退しました。入団から25年間ライオンズ一筋で活躍し、球団生え抜き選手初の通算2000本安打を達成するなど、高いプロ意識と誠実な人柄でファンに愛されてきた栗山さん。今回は、初の著書『獅子貫徹 ライオンズ一筋25年、理想の打撃を追い求めて』より一部を抜粋し、栗山さんの野球人生の軌跡を振り返ります。

「打撃をつかめた」という錯覚

2009年。僕はオープン戦からヒットを打ちまくっていました。

前年の終盤戦の「打撃をつかめた」感覚で打てるか。オフを挟んだことで、少しだけ不安はありましたが、打率は4割に達した。「これはつかめた。大丈夫だ」と思いながら、シーズンの幕開けを待つことになりました。

ふたを開けてみれば、開幕から26打席ノーヒット。

自己ワーストとなる不振が僕を待っていました。

4月いっぱいは打率1割台を抜け出せなかった。交流戦のあたりから打率が上がるいつもの流れにはなりましたが、7月初旬には、28打席ノーヒットで自己ワーストを更新してしまいました。

僕はよく分かっていなかったのだと思います。

打撃というものの不確かさを。「これはつかんだ」という感覚は、2008年の8月以降からあった。

でも、それは錯覚でした。