宮本慎也さんに教わったこと

それから、宮本慎也さんに教わったことも、僕にとって大きかった。

日刊スポーツ新聞社に、小島信行さんという記者がおられました。

プロ入り直後から僕のことを、不思議に思えるくらい高く買ってくださっていた。

ある年、交流戦の時期に「紹介したい選手がいるから」とご飯に誘われた。

それが宮本さんとの出会いでした。

まだ駆け出しで、他球団の選手の僕に、宮本さんはいろいろなことを教えてくださいました。そのひとつが「選球眼」の磨き方について、です。

「素振りのやり方を変えるだけでいい」と宮本さんはおっしゃいました。

変化球をイメージして、それに合わせたタイミングをとって振り始める。でも、インパクト直前で直球のイメージに切り替えて、直球のタイミングでバットを出す。

直球を待っている状態から、グッとタイミングを遅らせて変化球に対応する。

それは普通の対応として誰もが打席で自然とやっていることですが、想定よりも早いタイミングになったとしても、バットを何とか出せるように練習を重ねておく。

シンプルに、急に速球が来てもバットに当てられる、というメリットもあります。ただそれ以上に、他の選手よりも遅いタイミングで待っていても、球速マックスのストレートに対応できることがものすごく大きい、と感じました。

つまり、常に他の選手よりも長くボールを見られる、ということになる。

せいぜいコンマ数秒です。でもそれが、普通の選手と宮本さんのような名選手を分けるものなのかもしれない。そう思いました。

(変化球、変化球、変化球……直球!)
(変化球、変化球、変化球……直球!)

その日から、僕は頭の中で呪文を唱えるように、素振りを繰り返しました。

フォアボールはボール球を見ればいい。

三振はバットに当てれば防げる。

言うのは簡単だが、難しいのでは?

よくそう言われるのですが、僕は宮本さんからヒントを与えてもらっていたのです。

※本稿は、『獅子貫徹 ライオンズ一筋25年、理想の打撃を追い求めて』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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『獅子貫徹 ライオンズ一筋25年、理想の打撃を追い求めて』(著:栗山巧/KADOKAWA)

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