2026年10月より、パートタイム・有期雇用労働者の待遇に関するルールが改正されました。多様な働き方が選択できる現代ですが、それに伴い複雑化しているのが職場のトラブルです。数多くの労働事件を担当してきた弁護士・佐々木亮さんは「働く側にトラブル解決に対する知識がとぼしく『泣き寝入り』をするケースが実に多い」と指摘します。そこで今回は、佐々木さんの著書『職場のトラブル即解決!あなたを守る労働法』より一部を抜粋し、自分を守るために知っておきたい労働法の知識をわかりやすく解説します。
妊娠や介護を理由としたハラスメントがマタハラ、ケアハラ
マタニティハラスメント(以下マタハラ)は妊娠、出産、育児休業などの取得を理由とした、降格、解雇や減給をはじめとする不利益な扱いを指します。
また、同じ職場で働いている周囲の人たちから受ける、「迷惑だ」とか「妊娠したら辞めたほうがいい」などといった心無い言葉もマタハラです。
マタハラと近いハラスメントにパタニティハラスメント(パタハラ)があります。これは男性社員が育児休暇を取ったときなどに受けるハラスメントを指します。
働きながら家族の介護をする従業員に対するハラスメントがケアハラスメント(ケアハラ)です。
マタハラの典型例では妊娠を報告したら、上司から辞職を勧められた、正社員からパートになるよう強要された、減給されたなどがあります。
育休取得についても、なかなか理解が得られないケースがあり、「忙しいのに休まれると困る」、「休みを取るなら辞めてほしい」といった否定的な態度を取られることも珍しくないでしょう。
ケアハラのよくある事例としては介護休業を取ろうとした従業員に「仕事より介護が大事なのか」、「ほかの家族で対応できないのか」、「奥さんに任せておけ」などと言われ、休暇を取りにくい状況に追い込み、介護休業や時短勤務などの制度を利用するのを妨害することです。
育休にしろ、介護休業にしろ、いずれにせよ育児・介護休業法で認められた労働者の権利です。これを阻害するハラスメント行為は法令違反になります。