〝お仕事ぬい〞として働くぬいぐるみ

気がついたら、カピバラ店長の名前が変わっていました。

この子……もともとの名前は、〝カピバラ店長〞でした。なのに、この頃、私達はこの子をそう呼んでいない。
〝大阪方面本部長〞。
だよねー。
私も旦那も。
大阪で何か辛いことがあった時(しかもそれがよくある)、この子を抱きしめて、この子に頼って、この子に縋って……。
あまりにもこの子に頼っていた為、この子はいつの間にか、〝大阪方面本部長〞って呼ばれるようになっていました。
ごめん。
勝手だよね。
あなたの名前を変える権利なんて、私にも旦那にもないのに。
でも、あなたは、〝大阪方面本部長〞。
私達が大阪に行く時、絶対についてきて欲しいぬい、大阪で何かあった時、私達のことを絶対に守ってくれるぬい、それが〝大阪方面本部長〞。

私の場合……〝お仕事ぬい〞というぬいぐるみさんが、います。
一番判りやすいのは、うちの鍵を持っているぬいさん、あと、私がお出かけした時、こっそり一万円札を隠しているぬいさんがふたり、Suicaを持っているぬいさんがひとり。
この子達は、ぬいぐるみなんだけれど〝お仕事〞をしているぬいさんなので、私は個人的に〝お仕事ぬいさん〞って呼んでおります。
そして。
気がつくと、〝大阪方面本部長〞は、ほぼ、究極の〝お仕事ぬい〞さんになっていました。
いや。
何も抱えていないんだよ。お金だって持っていないんだよ。
でも、それ以上のものを、〝ずっと抱えて〞〝ずっと持って〞いる。

〝大阪方面本部長〞が持っているのは……旦那と私の〝安心〞。旦那と私の〝昨日と同じ今日〞。旦那と私に対する、〝旦那と素子さん、落ち着け〞って気持ち。
〝大阪方面本部長〞。
ありがとうございました。


(そして。時間がたち、義父と義母を無事に見送ることができたあと、〝大阪方面本部長〞であるカピバラは、いつの間にか〝カピバラ店長〞っていう名前に戻っていました。)

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