4,000匹以上のぬいぐるみと暮らす小説家・新井素子さんの日常がここに。「ぬい活」が一般化するはるか以前、「ぬい」という呼称を生み出し、社会からずっと変人扱いされてきた新井さん。「ぬいぐるみは生きている」と本気で確信し育んだ「ぬい」たちとの生活には、ただごとではない発見と幸せのヒントが詰まっていました。


ハードルが高い? ぬいさん遊び


TVは自分の家で自分のぬいさんと一緒に見ることができるので、ある意味、ぬいさんと一緒に 〝遊ぶ〞 に対してハードルが低いんですが……ちょっとハードルが高いものには、〝ぬいさんと一緒に映画〞とか、〝ぬいさんと一緒に観劇〞とか、〝ぬいさんと一緒にイベント参加〞なんかもあります。


まあ……私は、そういうの、普通にやっちゃうんですが……当該ぬいさんがある程度以上大きい場合……これは、むずかしいと思われるひとも、いらっしゃるんじゃないかと。
いや、私は、何かそういう催しがあった場合、結構大きいぬいさんだって抱いて行ってしまうんですが、普通、五、六十センチを超えるサイズのぬいさんは……なかなか携帯がむずかしいよね。(普通の鞄には入らないような気もしますし、こういう子をいれようとしたら、ちょっと大きめの紙袋にいれるしかないような気もしますし、それが嫌なら抱いてゆくしかないし……普通に、五、六十センチ以上のぬいさんを抱いて平然と外を歩けるひとって、私、自分以外に知らない……。)
と。
私はずっと思っていたのですが……そんなこと、ないんですね。


感動したのは、数年前、『プーと大人になった僕』という映画が公開された時でした。
これ、『くまのプーさん』の 〝後日談〞 映画でして……えーと、そもそも、『くまのプーさん』……みなさん、ご存じ?
童話です。クリストファー・ロビンっていう男の子がいまして、その子の大切なぬいが、くまのプーさん。そして、繰り広げられる、プーさんと他のこぶた(ぬい)やうさぎ(ぬい)や動物(ぬい)達とクリストファー・ロビンのお話。
で、このお話から時間がたって。中年になったクリストファー・ロビンの処に、プーが訪ねてくるんです。そこから話が始まるのですが……。