世界を席巻しつづける「スパイ作品」

スパイは小説、映画、ドラマなどの娯楽分野において、もっとも頻繁に取り上げられ、成功を収めてきたジャンルの一つである。

往年の定番といえば、やはり『007』シリーズだろう。特に一定の年齢層にとっては、「スパイ=ジェームズ・ボンド」という公式が完全に刷り込まれている。

『面白すぎて時間を忘れる「スパイ」の世界: 実在のスパイから世界の秘密工作まで』(著:落合浩太郎/三笠書房)

その系譜は現代にも受け継がれており、トム・クルーズが命懸けのスタントを披露する『ミッション:インポッシブル』シリーズや、マット・デイモンがリアルな暗殺者を演じた『ジェイソン・ボーン』シリーズなども世界的な人気を博している。

この潮流は、映画だけにとどまらない。アメリカで1960〜70年代に爆発的な人気を誇り、日本をはじめ世界中に輸出されたテレビドラマ『スパイ大作戦』は、その原題を『Mission: Impossible』といい、まさに現在の映画シリーズの原点となった作品である。

日本国内に目を向けても、2023年に放送され社会現象となったTBSのドラマ『VIVANT』は、豪華なキャスト陣も相まって大きな話題を呼んだ。

また、スパイ、殺し屋、超能力者が互いの正体を隠しながら「家族」を演じる人気作品『SPY×FAMILY』も、コミックスやアニメの分野で高い人気を維持している。中でも他人の心を読む超能力者の少女・アーニャは、本作の顔ともいえる存在だ。独特の言い回しや豊かな表情は多くのファンを魅了し、日本のみならず海外でも高い人気を獲得している。