やっぱり日本酒は懐が深い
実は、今、約30種類のお酒を試飲して、コメントを書くという仕事をやっているところなんです。テイスティングですから飲むのは少しだけですよ。でも、何種類も味わいながら飲んでいると、「酒ってやっぱりいいよなぁ」......って、しみじみ思います。コロナのおかげで酒のうまさを再認識したというか。いつもはあちこち飛び回って、美味しいお酒はその都度飲んでいますけど、こうしてゆっくり飲むことはなかなかなかった。
合わせるつまみを考えたりしながら飲むのは楽しいですよ。銘柄ごとに酒器を替えたりね。酒飲みの愉悦です。
じっくり飲んでみると、これはちょっと冷やそうとか、こっちは食中酒向きだな、などその酒の個性が見えてきます。燗酒にすべき味だろうな、と思って瓶を見ると東北の蔵だったり......。囲炉裏端に腰を落ち着けて飲む味を醸し出しているんです。
仕事とはいえ、贅沢な時間ですよね。日本酒は種類が多くて懐が深い。
まだまだ以前のようには動けないけれど、酒がうまい、ということを改めて体感することができてよかった。もうコロナに負けてないぞ、と思います。
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独特のダンディズムは何に由来するのか。BS-TBS「吉田類の酒場放浪記」ほか、多彩な活躍を続ける著者が綴った、大人の味の極上エッセイ