好奇心を失わず、残りの人生を謳歌したい
内館 世の中では「歳をとったからと言って不可能はない」などと言う方もいますが、私はそうは思いません。私は60歳の時、思いがけず大きな病気にかかりました。それまでは大河ドラマも朝ドラもどんと来い、みたいな感じでしたが、無理がきかなくなり、根性がついていかなくなりました。
三田 確かに歳をとってくると、昨日までできたことが少しずつ難しくなったり、いろいろなことがおっくうになったりしますよね。
内館 そのなかでできる限り、自分が今一番やりたいことをやるのがいいと思うんです。私が50代半ばで大学院に通い始めた時、周囲にはお金にあまり余裕がなくても働きながら通っている人や、時間をやりくりして遠くから来ている60代の男性もいました。
三田 自分にとって何が大切なのかを見極めて、優先順位をつけることも大事なんですね。
内館 そのためには、節約するところは節約するなど、工夫も必要。
三田 私の場合、女優という仕事柄、日常的に人の助けが結構あるんです。たとえば着替える際、誰かが背中のファスナーを上げてくれるし、家事も手伝ってもらえる。でも60歳の時、このまま人任せにしていたら、もっと歳を重ねた将来、衰えてしまうと思い、「自分でやる」と決めて少しずつ習慣を変えていったんです。そして新しいことにもチャレンジしようと思って、ブログも始めました。
内館 えぇ~! 私はいまだに、原稿を手書きしています。
三田 若い人たちがやっているブログという世界を覗いてみたかったんです。ブログのために写真を撮るようになったら、それまで気づかなかったものに目がいくようになり、少し頭が活性化される気がします。
内館 そのチャレンジ精神が人生の後半を豊かにしますよね。どうせすぐ死ぬんだからと開き直らず。
三田 おしゃれもして、好奇心を失わず、ハナのように残りの人生を謳歌したいですね。