(c)JIROCHO, Inc. イラスト:佐野洋子

ブレーメンはどこにあるのか、わからなかった。わからなかったけど、わたしたちは、ブレーメンをめざして歩いた。

「年はとりたくねえな。ブレーメンなんぞ、昔は半日もありゃあ行けたもんだ」
ねこがいった。

「ブレーメンへ行ったことがあるのかね」

「それがよく思いだせねえがね」

ねこのひげは、すり切れて、毛穴だけになっている。

「おれの行ったころは、ブレーメンは戦争していたぜ。コケコッコー」

にわとりがいった。

「戦争したのは、ありゃあたしか、クレーメンだ」

犬がいった。

「そうだ、クレーメンだ。コケコッコー」

わたしたちはずいぶん歩いたが、ブレーメンはどこだかわからなかった。

森の途中に、どろぼうの家があった。

わたしが前足を窓わくにかけ、背中に犬が乗り、その上にねこがよじのぼり、にわとりがねこの頭に止まって、中をのぞきこみ、いちどきにどろぼうにたずねたもんだ。

「ブレーメンはどこかね」

どろぼうたちは、腰をぬかして、家を飛びでて行った。

わたしたちは、たしかに、

「ブレーメンはどこかね」

と聞いただけだ。