しばらく行くと、猟犬が寝ころんでいた。

「これ、おまえさん、なにをそんなにハアハアしているんだね」

「もう猟に行けなくなってね、主人はぼくをなぐり殺そうとするのさ」
犬は、目やにだらけの目をしょぼしょぼさせていった。

「ブレーメンへ行こう」

二ひきで歩いて行くと、ねこが陰気くさい顔をしてうずくまっていた。

「おれは、もう年で、一日じゅう寝てたいんだ。ねずみを見たって、めんどうなだけだ。目も開けたくねえ。目も開けねえでいたら、ねずみは、おれの頭の上で昼寝をしだした。おれは、それもいいんじゃねえかと思ったがね、奥さんはそれを見て、おれを風呂おけの中にぶちこもうとしたんだ。いいたかねえが、おれは、一生分のねずみはとっくにとり終わっていると思っていたがね」

「ブレーメンへ行こう」

わたしたちは、いっしょに歩きだした。

ある屋敷の門の上に、にわとりが止まっていた。

にわとりは、朝でもないのに「コケコッコー」と鳴いていた。

「どうしたんだね」

「コケコッコー。この家の者は、おれがぼけたっていうんだ。そんなことはねえ、おれは昔よりも調子がいいくらいだ。なんどだって鳴けるんだぜ」

「ブレーメンへ行こう」

にわとりは、よろこんでついてきた。