これも愛なんだろうか。ずっと夫のことを考えて

近い将来、家族のかたちがどうなるかについては、息子たちともよく話しています。この間は「ママ、誰か好きな人いるの?」と長男に聞かれました。「そんな余裕はないよ。ママは馬車馬のように働かなきゃならないし、仕事は楽しいし。それよりも、パパに好きな人ができるといいな」と返事をしました。正直、もう色恋にはうんざりです。

もしも今、彼の弱さも含めて丸ごと愛してくれる女性が現れたなら、私は肩の荷を下ろせるだろうなという思いがあります。もちろん息子たちは、なんで両親は仲良くしてくれないんだよって、つらい思いをしていることでしょう。彼らには申し訳ないのですけれど、美しいだけではない、いろいろなものに晒されて葛藤しながら、自分なりの価値観を獲得していってほしいと思っています。

先日、長男の高校の卒業パーティがありました。レンタルのスーツでおしゃれにキメて出かける直前、自宅の庭に立った長男を夫が撮影し、引っ越してきたばかりの6年前に同じ場所で写した彼の写真と並べて、送ってきてくれました。

「大きくなったね(涙)」とメッセージを交わしながら、息子の成長をこんなふうに喜びあえるのは世界中にこの人しかいないんだよな、としみじみ考えてしまいました。このまま夫が、苦しみながらも彼なりにものを考え、人間として成長していくのなら、一緒にいるのも悪くないかな、という気がしてくるのです。

これまで経験したことがないほど長く、家族と離れて過ごしながら、私はこうしてずっと夫のことを考えています。これも愛なんだろうか(笑)。2024年の春先には何らかの結論を出さなくてはなりません。時間はたっぷりあるように見えて、あっという間に過ぎ去ってしまう。ともあれ、コロナ禍によって、悩み揺れる貴重な機会が与えられたと思っています。


※本記事は、『婦人公論』2020年11月24日号の記事「夫婦リセットか、続行か。いま、心は揺れて」の一部を改変しています