明けない夜はないと励まし合って
5月末の緊急事態宣言の解除を待って、シングルCD「遠き昭和の…」、後輩歌手たちの楽曲をカバーしたアルバム『演歌っていいね!』を発表。その後、イベント再開にさまざまな制約を受けるなか、ライブコンサートの動画配信にもチャレンジした。
歌手として今できることは何か。待っているだけではダメ――。それがコロナ禍に直面し、思ったことでした。コンサートの再開を待ち望んでくださっているファンの方たちのためにも、そして事務所にいるたくさんのスタッフたちのためにも動き出さなければ。
そうして9月1日に「ITSUKIモデル 弾き語りライブ 今できること ―ソーシャルディスタンス コンサート―」を開催。密を避けるため、お客さまの数は定員の半分ですが、より多くの方に楽しんでいただけるよう、インターネットでライブ配信も行ったのです。
2月以来、丸6ヵ月ぶりのコンサートでした。つくづく思ったのは、ライブがいかに大事かということ。僕自身の歌う喜びはもちろん、お客さまを目の前にして歌うことで歌が生きる。聴きに来てくださった方の心を打つ。さらには、そのお客さまが会場でCDを手に取ってくださるなど、プロモーションにもつながるのです。
しかし、コロナの感染拡大による不安が続くなか、当分は元のような状況には戻りません。僕は長くこの世界でやってきたので何とかなっているものの、新人や若い歌手たちは活躍の場を失い、途方に暮れるばかり。死活問題でもあります。歌謡界の後輩たちとは、「明けない夜はない。みんなでこの苦難を耐えて頑張ろう」と励ましあいながらやってきた、そんな1年なのでした。