不快なできごとも、書いてみると違って見える
もちろん、田舎暮らしには苦労もつきものです。近くには牧場があるのですが、日本の家屋のように網戸が取り付けられていないので、窓を開けると当然ハエや蚊が入ってきます。時には牛の糞から作る堆肥の香りも……。(笑)
夏の間、日々の出来事からその日食べたものなど他愛のないことまでを日記に記していました。毎日1時間ほどのつもりで書き始めるのですが、没頭してしまい、気づくと日が暮れていた、なんてことも。
楽しいことばかりでなく、不快や憤りを感じた出来事も綴りました。けれど、書くという行為を通して自分の体験を俯瞰してみると、あまりつらく感じなくなるのは不思議です。また、思考が整理されるので、自分がいかに愚かだったかにも気づかされました。(笑)
日本で暮らしていた頃は、仕事のために生きていたようなものだった──。生活を犠牲にし、大事なことを忘れていたのかもしれません。日々の営みのなかで感じたことを書き続けるうちに、そう思うようになりました。