無理かもしれない! いや、無理だ!

刺さったというか、針がぐぐぐっと首に突き立てられるような感覚だった。すいません、どこまで刺しますか? と焦りに焦った。さまざまな注射を経験してきた私の人生だが、トップスリーに入るぐらいの痛さだった。

ぐぐぐ……と、渾身の力で主治医が太い注射針を両手で私の首に刺しているイメージで頭がいっぱいになった。痛みというよりは、柔らかな首に鋭利な何かが深々と突き立てられるという非現実的な状況に、心を砕かれるようだった。無理かもしれない! いや、無理だ!

しかし、主治医は「もう少し追加しますね」と優しく言い、再び、何かを垂直に私の首に刺した(ような気がした)。この時点で私の頭のなかには、「死ぬ」という文字しか浮かんではこなかった。「それでは検査を開始しますね」という主治医の優しい声は聞こえたが、その次にやってきた感覚で、すべてがかき消されてしまった。

とても固い何かが、主治医の渾身の力で首に刺され、そして血管を進んで行く感覚に全身が支配されたようだった。あまりの衝撃に、緑の布の下で、ありえない変顔をしてしまったのをはっきり覚えている。

ハァ? ちょっと待ってくれる? これってどういう状況なんですか?? 

首の一番弱い部分、例えば誰かに突然触られたら、恐怖と違和感で飛び上がってしまうような敏感スポットに、あろうことか、焼き鳥の串のように鋭利で頑強な何かが突き立てられた状況なのだ。

痛いのか? いや、痛いというよりは、恐怖だ。ありえない状況だ。違和感だ。助けて~!!