2019年、東レ・パン・パシフィックテニスは大阪で開催され、大坂は、生まれ故郷で両親も見守る中、日本での初のツアータイトルを獲得した(撮影:神仁司)

《コスモポリタン》の代表格として

テニスは、年齢、人種、信条、性別、性的指向、国籍に関係なく、すべての選手が尊重されながら受け入れられているワールドワイドなスポーツだ。プロテニスツアーの日常では、国籍云々がクローズアップされることは少ない。

特に国籍を否定しているわけではないが、選手が国の代表として戦っているわけではないことは明白で、彼らは、プロフェッショナルとして自立した個人事業主であり、コスモポリタン(世界的視野を持つ人)ともいえる。3ヵ国の祖先から受け継ぐ血筋や文化を担いながら、世界中を転戦する大坂は、まさに《コスモポリタン》の代表格なのだ。

コート上では勝負師になる大坂だが、普段は相手を思いやる優しい性格であり、常に未来を見据えている。そんな彼女は、すでに未来のための行動を起こしている。

世界的なスポーツ用品メーカーであるナイキと、ローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団と連携して、遊びとスポーツを通じて女の子たちの人生を変えるプログラム「プレー・アカデミー with 大坂なおみ」を設立した。大坂が、日本とアメリカの子どもたちの環境を比較した時に思いついたプログラムであり、まずは東京から活動を始める予定だ。

「アメリカには(無償で使える)オープンなフィールドがたくさんあります。小さな子どもたちがスポーツをし、アクティブに過ごすことを奨励していきます」