コービーの遺志を受け継いで、未来へ

このような未来志向の行動を大坂が起こすのは、彼女が尊敬し親交のあったコービー・ブライアント氏からの影響が大きい。ブライアント氏はプロバスケットボールNBAの元選手で、20年1月に事故で亡くなったが、世界的に多大な影響力を持っていた彼の遺志を大坂は引き継ごうとしている。

「彼を誇りに思いますし、彼のレガシーは、私の中で生きています。願わくは、将来(自分が彼のような)偉大な存在になれればいいですね」

世界ランキングを3位に上昇させた大坂が、今後、心技体の充実したテニスを進化させることができれば、グランドスラムタイトルを獲得できるチャンスはさらに広がるに違いない。また、世界1位の座を奪還できる日も訪れるだろう。まだ23歳という若さもあり、近い将来、女子プロテニス界には《大坂なおみ時代》が到来する可能性も大いにある。

そして、コロナ禍によってさまざまな変化がもたらされている世界で、日本の旧態依然とした枠組みや、島国気質に根ざした既成概念では、もはや大坂を的確にとらえきれなくなっている。日本に今までになかった新しい女性像や、21世紀にふさわしい新しいスタンダードを、《コスモポリタン》である大坂なおみが自らもたらしてくれるに違いない。