人生の大きな選択は全部、自分で決めてきた

正直なところ、息子についても、娘たちについても心配は尽きません。でも、彼らが自分で決断し、進んでいくしかないと思うのです。私自身、就職、退職、結婚、離婚という人生の大きな選択は全部、自分で決めてきました。両親に意見を聞くことはしませんでしたが、報告すると、父は「景子が決めたことなら」、母は「念じていれば、必ず叶うよ」と背中を押してくれたものです。

それで私は、自分が願ったことには思い切ってチャレンジしてきました。挫折も味わったけれど、どれも必要な経験だったと思います。だから子どもたちにも、本当にやりたいことならば、自分で決めた道を、責任を持って歩んでいってほしいのです。その姿を、少し距離を置いて見守っていくのが親の務めだと思います。たとえ失敗しても、いくらでも軌道修正はできますから。

昨年来のコロナ禍のため、16年から主宰している「河野景子のことばのアカデミー」の仕事や講演などで外に出かける機会が少し減ったため、子どもたちのことを思いながら家でゆっくり料理を作る時間も増えました。

思えば、こんなに穏やかに流れる時間を経験するのは、テレビ局に就職して以来、まったくなかったように思います。スケジュール帳は常に真っ黒。おかみ時代は、5色のペンを使い分けて毎日の予定を書き込んでいたくらい。その頃に比べたら、のびのびと深呼吸しながら穏やかな日々を過ごせる今は、なんてありがたいんだろうと感じています。