「そんなに居心地が悪いんだったら辞めてしまえば?」と言いたくなりますよね。辞めようと思ったことは何回もあったのですが、辞められない理由もあって、それは給料がメチャクチャ高いということでした。ロクに働きもしないのに給料が高いということは、搾取しているということです。かといって、給料を下げてくれという気持ちにもなりませんでした。何となく後ろめたい気持ちを引きずりながら会社に通っていたら、ガンになったというわけです。
辞めることが出来たのは、会社で不祥事があったから
不摂生かストレスか、どっちが原因だったわかりませんが、おそらくその両方だったのでしょう。ストレスを発散させるため、朝まで飲んで騒ぐということもありましたから。そういう時はたいてい吐いていました。
社員に首切り勧告した日は、気持ちが落ち込みました。そういう仕事もぼくの役目で、一番ストレスが溜まる仕事でした。
そういえば、首切りって最近は言わなくなりましたね。最近はリストラクチャリング、略してリストラです。再構築、再編成っていう意味ですけど、バブル崩壊以後、人員整理をリストラって言うようになりました。首切りや解雇より言いやすいんでしょうね。ぼくはリストラより首切りのほうが、残酷な感じがして好きです。「首を切られた」と聞くと、首になった人の恨みがこもっているような感じがしませんか?
いずれにしても、首を切るということは、その人の人生を左右するわけですから、ストレスが溜まります。そのストレスを抱えたまま家に帰ると、だいたい夫婦喧嘩になります。ムスッとした顔で帰って来て、暗い顔で何も喋らない夫を見ると、奥さんは楽しいわけがありません。
ぼくが会社を辞められたのは、それから6年後でした。定年退職の年齢は60歳でしたが、役員だったので定年はないのです。ということは、定年は自分で決めて会社と話し合いをするということになります。