60を過ぎた頃、辞表を書いたこともあったのですが、「まあまあ、もう少しいたらどうですか?」と言われ、そのままズルズルいてしまい、そういう踏ん切りが付かない自分が、なんとも情けなくて自己嫌悪に陥りました。

辞めることが出来たのは、会社で不祥事があったからです。その責任を取って辞めることにしたら、さすがに反対はされませんでした。不謹慎かもしれませんが、ぼくにとっては「不祥事バンザイ!」でした。

美子ちゃんとパリのセーヌ川で(1999年)

喧嘩の途中で家を出てはいけない

会社を辞めて良かったことはたくさんあるのですが、まず夫婦喧嘩がなくなりました。
これはかなり大事なことで、退職後は家にいるわけですから夫婦円満が第一です。円満と不和では、天国と地獄の差があります。

会社に勤めていると、夫婦喧嘩が尻切れトンボになってしまうことがあります。例えば、会社に出掛けようとしていた時、喧嘩になったとします。夫婦喧嘩はお互い納得するまでやったほうがいいのですが、その日会議があったとします。夫婦喧嘩と会議はどっちが大事かですが、会議に出ないとみんなに迷惑を掛けると思って、大抵は会議の方を取ります。使命感からそうするのですが、会社に逃げたいという気持ちもあるはずです。夫は「会議があるから」とか言って、そそくさと家を出ます。そして、会社に行けば夫婦喧嘩のことなんか忘れますが、家にいる妻のほうはずっとモヤモヤした状態でいることになります。