母は昭和の専業主婦らしく、家を守り、家事をいつもきちんとやる人だった。料理も常に一汁三菜が並ぶ。一方の父も清掃関係の仕事をしていたからか、普段からキレイ好きだった。そんな祖父母の遺伝子を娘は受け継いだのかもしれない。

 

一瞬にして娘の顔が般若に変わった

とにかく毎日そんな状態だから、献立を決めるのも一苦労。おかずを《一品入魂》で作ってそれで終わりにしたい私と、バランスよく一汁三菜を作りたい娘。私よりずっと若いくせに、なぜこんなに《昭和のお嫁さん》なのか。「本当に私の娘なのか?」と疑ってしまう時すらある。

そんなある日、事件は起きた。その日は久しぶりに家で焼き肉をする予定だったが、私は自分の好きな十穀米のご飯を炊いてしまった。

まずい! と思ってあたふたしていると、タイミング悪く娘が台所に入ってきて、「お母さん、ご飯炊けたみたいだし混ぜ混ぜするね〜」と炊飯器をオープン。一瞬にして娘の顔が般若に変わった! そう、娘は焼き肉の時、お肉を白いご飯に巻いて食べるのが小さい頃から大好きだったのだ。