心療内科に行ってみた

治療して治れば問題はないのだが……いろんな病院で調べたものの、原因はわからずじまいである。となると、心因的なものから来ているのかもしれない。あまり考えたくはなかったが、そうかもしれない。

わたしは、会社に相談し、会社が勧めてくれた都内の心療内科に行ってみた。

本連載がまとまった青木さやかさんの著書『母』

そこはビルの2階にあった。清潔感のある病院で、長いソファが置いてあり、そこには10人近くの人が座っていた。わたしは顔が見られないようにマスクをし、帽子を目深に被って受付をし、1番奥に座った。誰も人のことなんて気になどしていなかったから、隠れようとしているわたしが自意識過剰に感じて、「はあ、いつまで芸能人だからどうだって思っているんだ自分は」と思った。そこに座っている人たちを観察していたのはわたしのほうだった。静かな待合室だったが、今まで知っているいろんな病院の待合室と特段変わらなかった。至って、普通、だった。

待ち時間が長いからなのか「あ、これ読みたかった」という雑誌が充実していて、「温泉宿特集」が掲載されている1冊を手に取って眺めていた。

30分ほど経ったころ、柔らかい声で名前を呼ばれ、「こちらです」と、部屋にと通された。

40代後半くらいだろうか。柔和な雰囲気の男の先生が座っていた。黒いニットタートルに、プリーツの入ったチェックのパンツに、茶色い革靴を履いていて、まさに紳士そのものだった。白衣はきていないのだな、と思った。