眠れないんです。寝なきゃ寝なきゃと思うんですが

「こんにちは」
「こんにちは〜」
「お待たせしましたね、どうなさいました?」

先生はゆっくりと、聞いた。わたしは感覚的に、この人を信用しようと思った。
「えっと、ですね」
「はい」
「ここ最近、倒れるようになりまして。実際に倒れたのは数回なんですが」
「どんな時に、そうなります?」
「多いのは、仕事の時、です。あとは、ロケバスに乗ったりして、降りられないと思ったり、迷惑がかかると思うと」
「はい」
「心配になって、バクバクしてくる、んですね」

「いつ頃からですか?」
「えー、とですね、離婚を半年ほど前にしたんですが、その頃一度倒れましたね。でも、その頃は、あまり食べられなかったので、だからかな、と」
「今は食べられていますか?」
「そうですね。はい。ただ」
「ただ? はい」
「明日のことが心配になったりすると、食欲は出なくて、でも食べないと体力がなくなるので、ムリに食べなくては、と思うのですが」
「食べられなかったりもする」
「はい」

仲良しの小川菜摘さんと。小川さんの書籍の撮影で(写真提供:青木さん)

「眠れていますか?」
「眠れないんです、寝ないと体力が元に戻らないとわかっているので、寝なきゃ寝なきゃと思うんですが。明日が心配になればなるほど眠れないんですね」
「そうですか」
「病院で、調べられるものは調べましたけど、特に、原因がわからなくて」
「そうでしたか」
「先生、どう、なんでしょうか」