「これまで映像の仕事では、共演者のセリフや動きに反応する形で芝居をしてきました。でも舞台の場合は、そこにもうひとつ観客という存在が加わることになる。」

舞台で味わう未知の感覚

チャレンジと言えば今回、初めての舞台、しかもミュージカルに挑戦することになりました。タイトルは『17 AGAIN(セブンティーン・アゲイン)』。高校時代はバスケットボールのスター選手だったのに、結婚生活も仕事もうまくいかず、娘と息子から負け犬呼ばわりされ、サエない人生を送っている35歳の主人公・マイクを演じます。

彼はある日、不思議な現象に巻き込まれ、気づいたら17歳だった頃の自分に戻っていて……というファンタジックなストーリーです。歌やダンスシーンはもちろん、17歳と35歳という年齢の演じ分けも見どころのひとつになると思います。

ボイストレーニングも始めました。もともと歌は好きだけれど、ミュージカルはまったくの別物。1幕の終わりに歌うロック調の曲があるのですが、レッスンを始めた最初のうちは途中で声が出なくなり、ラストまで歌いきれなかったくらいです。でもトレーナーの方に指導していただくうちに、いつの間にか歌えるようになってきて。やっぱり基本のトレーニングって大事だなあと痛感しましたね。

また、これまで映像の仕事では、共演者のセリフや動きに反応する形で芝居をしてきました。でも舞台の場合は、そこにもうひとつ観客という存在が加わることになる。巻き込むべきものが増えるとどんな状況になるのか、僕には未知の感覚です。本番までの稽古で何度も失敗を重ねながらつかんでいくしかないのかなと思っています。

過去に観劇したミュージカルのなかで特に印象に残っているのは、ロンドンで観た『レ・ミゼラブル』ですね。長時間の公演にもかかわらず、夢中で観ているうちにあっという間に終わってしまった。しかも歌とセリフの境目が全然わからないんですよ。あれはいったい何だったんだろう……と、今でも思います。本当に素晴らしい舞台でした。